棚からわしづかみ

■ろっかばいまいべいびい / 西岡恭蔵 (1975)■ 「まぁみなさん、元気に生きていきましょう」 1999年、初春。 あるラジオ番組にゲストとして西岡恭蔵が出演していた。 彼が自らの生に終止符を打とうとする少し前のことだ。 その一言は番組の終盤、リスナーに向…

■初恋に捧ぐ / 初恋の嵐 (2002)■ 男の歌はすぐそこにある 絞り出す感情 空気を湿らす吐息 けれど男はもういない これは想像のストーリーなのか とある真夏の夜の事なのか 晩夏の夕暮れどき 男の歌は胸に染み入る

■Hot And Sweet / Mighty Sparrow (1974)■ キンキンに冷えたビールを ゴクゴクと喉を鳴らして飲む あるいは真っ黒な夜空を色鮮やかに染める 花火をうちわ片手に川沿いで見上げる おやおや、夏の楽しみ方をもうひとつ忘れちゃいないか そうさ、マイティ・スパ…

■Younger Girl / The Critters (1966)■丸みを帯びたその音の輪郭は よく晴れた春の日曜日の朝が似合う

■Jake and The Family Jewels / Jake and The Family Jewels (1970)■ 十数年前、友人Mと東京レコハン1泊2日の旅を敢行した。ちょうど今頃の季節だったと思う。深夜バスに乗り、翌朝はまず福生に出向き、文字通り福生ストラットを満喫した。その後、初日は新…

■Roger Tillison's Album / Roger Tillison(1971) ■ 汗染みのスワンプミュージック 豪傑して無骨 あるいは大胆 針を落とした瞬間 轟くジェシ・デイヴィスのギター 次いでたたみかけるロジャーの歌 これで全てが決まっている

■Bunky & Jake / Bunky & Jake (1968)■ 優しく包み込まれる まるで日曜日の木漏れ日のような響き 何度聴いても胸がときめく 素敵な音楽 すなわち グッドタイムミュージック

■Vance 32 / Kenny Vance (1975)■ 粋と洗練が凝縮された「パーカーズ・バンド」、ゴキゲンな「アイム・ソー・ハッピー」、透明感溢れる「レイニー・デイ・フレンド」、サルサのお祭り気分「ハネムーン・イン・キューバ」、憂いを含んだ「ワンダフル・ワール…

■Live〜Moments From This Theatre / Dan Penn & Spooner Oldham (1999)■ 熟成された苦味と渋味 それでいてほのかな甘味を感じる 聴くたびに南部の底力を感じずにはいられない

■Bookends / Simon & Garfunkel (1968)■ 冬の朝、張りつめた空気を吸い込むと鼻の奥がつんと痛くなる。吐く息はいつまでも白く、耳と鼻と頬が赤く染まる。 昨晩、ある店で「アメリカ」が流れていた。誰が歌っているのだろうか。オリジナルに比肩するほど凛と…

■John Barleycorn Must Die / Traffic (1970)■ 発作的にトラフィックの『ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ』を聴きたくなるときがある。ドライでヘヴィー、あるいはクールかつグルーヴィー。冒頭のインスト曲「グラッド」でのウィンウッドの転がるピア…

■On The Track / Leon Redbone (1975)■ セピア色したレイジーボーンズ 飄々と世間をすり抜け 葉巻をふかす

■Dusty in Memphis / Dusty Springfield (1969)■ アリサ・フランクリン、ウィルソン・ピケット、レイ・チャールズらの諸作に触れれば、プロデューサーであるジェリー・ウェクスラーの存在を避けて通ることはできない。ジェリー・ウェクスラーの訃報を聞いた…

■Over The Rainbow / Livingston Taylor (1973)■ 地面をしっかりと隙間なく濡らした雨降りのあとのように、ほのかに湿り気を帯びた柔らかいサウンド。その湿り気によってむせ返ることはない。太陽と雨の香りに包まれ、緩やかに、たおやかに僕の身体は揺れる…

■Natural Progressions / Bernie Leadon & Michael Georgiades (1977)■ 夏の終わり、午後4時に聴くのがいい 橙色に染まり始めようとする空を見上げ 物思いに耽る

■Silver / Silver (1976)■ 音楽の真実。 夏の盛りが少し衰え出す頃、思わず手が伸びる1枚だ。ビッグ・ヒットを放ったわけでも、その後のシーンで大きく活躍するスターが在籍していたわけでもない。70年代のロック・シーンに星の数ほど存在したマイナーなグル…

■Summer in the City / The Lovin' Spoonful (1967)■ Hot town, Summer in the City, back o' my neck gettin' dirt and gritty. Been down, isn't it a pity; Doesn't seem to be a shadow in the city. ジリジリと 照りつける太陽のせいで 苛立つ街の雑踏 …

■Stand By Your Man / Candi Staton (1970)■ キャンディ・ステイトンの『スタンド・バイ・ユア・マン』に針を落とすとき、あのレコード店を思い出す。東心斎橋にあったACE RECORD。ブルース、ソウル・ファンには非常に有名な店だったはずだ。中途半端に物色…

■The Esso Trinidad Steel Band (1971)■ カリブから届く熱い風 23人のパンメン 彼らの熱い想いは 柔らかなパンの響きに溶け込んでいく カリブの熱いグルーヴ 僕の脳に溶け込んでいく

■ひこうき雲 / 荒井由実(1973)■ そういえば叔母がユーミンのファンだった。習字の先生をしていた叔母が書いていたカセットテープの字がやけに達筆で、幼いながらもそこから流れるポップな音楽と、その字体とのギャップを感じていたような気がする。その叔母…

■Fifth Avenue Band / Fifth Avenue Band (1969)■ 色褪せない感覚 永遠に続く瑞々しさに いつも胸が高鳴る 1969年 ニューヨーク五番街から届けられた音楽の奇蹟

■U.F.O. / Ron Davies (1973)■ ロン・デイヴィスが5年前に亡くなっていたことを最近知った。老いても元気に新作を届けてくれていたわけではないが、この世に存在していないことを知るとやはり切なくなるものだ。ロン・デイヴィスの名作となれば、もちろん『U…

■Recycled Recipes / Donavon Frankenreiter (2007)■ 波乗り未経験の僕ではあるが、波乗り人たちが好む音楽に心が惹かれてしまう。古くはイーグルス、ジャクソン・ブラウン、シルヴァーなどを筆頭とする70年代アメリカ西海岸産の良質音楽。波乗り人を通じて…

■Rod Taylor / Rod Taylor (1973) アサイラムの、デヴィッド・ゲフィンの根回しにより豪華なメンツが集結し、良質な音楽世界を構築したにも関わらず、その思惑と戦略が見事に外れてしまった不遇の名作だ。ジェシ・デイヴィス、ライ・クーダー、ジョ二・ミッ…

■無人島レコード ---洋楽編---■ 1. Bobby Charles / Bobby Charles (1972) 2. Peter Gallway / Peter Gallway (1972) 3. Rubber Soul / The Beatles (1965) 4. Natural Progressions / Bernie Leadon & Mcihael Georgiades (1977) 5. Southern Nights / Alle…

■Sings Hoagy Carmichael / Hoagy Carmichael(1976)■ 細野晴臣、レイ・チャールズ、ジェフ・マルダー、エイモス・ギャレット、ジョン・サイモン、レオン・レッドボーン、ボブ・ドロウ、ジョージィ・フェイム。彼らを手掛かりにホーギー・カーマイケルに辿り…

■Boz Scaggs / Boz Scaggs (1969)■ エディ・ヒントン、ロジャー・ホーキンス、ジミー・ジョンスンらの南部の強者が繰り出す鉄壁のリズムとサウンド、そして何と言っても裏の主役というべきデュアン・オールマンの暴れっぷりも特筆すべきだ。特にアルバム後半…

引っ越し初日にラジカセでボブ・ディランの『追憶のハイウェイ61』を父と聴きながらCDとレコードの棚戻しをした。そのあとはイーグルス。そのあとはキャロル・キングを少し。引っ越しの初日のBGMは何から始めるか、ということをわりと考えてしまう。その後の…

■Nashville Dirt / Rob Galbraith (1970)■ 乞CD化。マイナーなSSWではあるが内容は申し分ない。70年発表のデビュー作『ナッシュヴィル・ダート』。ほのかに漂う汗臭さと南部の甘みが絶妙にブレンドされた隠れ名盤。マイナーものを取り上げることが多くなって…

■The Fabulous Rhinestones / The Fabulous Rhinestones (1972)■ポール・バタフィールドが参加しているということで流れとしてはウッドストック経由で買ったものの、堂々たるファンクっぷりに驚いたものである。タワー・オブ・パワーのメンツがベイエリアで…