bannai452009-06-05

■John Simon's Album / John Simon (1970)■
ジョン・サイモンのアルバム。
そう、これはジョン・サイモンのアルバムであり、ジョン・サイモン以外の人間には生み出すことはできない。彼の頭の中に響いている音や言葉を具現化すると、こういう音楽が生まれるのだろう。凡人には到底作り得ない代物だ。
驚くほどの名曲があるわけでもない。歌はどちらかというと下手な部類だ。裏方が歌うアルバムの代表格のような佇まい。けれど味わい深い。いや、だから味わい深いのか。
ザ・バンドの面々や豪華なゲスト陣が参加していることも重要だろう。だがジョン・ホールの奇天烈ぶりこそ、このアルバムの肝だと思っている。特に「ヴェルヴェットを着た愚か者」におけるプレイは狂気的だ。フェイドアウトしていく最後の最後まで聞き逃したくない衝動にかられてしまう。

初めて聴いた10代後半、取っ付きにくい印象は否めなかったが、あとあとボディに効いてくる。これもまたウッドストック産の音楽の特徴だ。