bannai452008-06-01

タワーレコードに出向き、小尾隆さんの新刊『my favorite of US Records』を手に取ってみた。ご自身のブログでも製作過程を知ることができていたこともあって、(失礼極まりないが)いちファンとしても「満を持して」という思いがあったりもした。一般的なロック名盤ガイドブックもこの時代になってはもうネタが無い。切り口を変えたところで、それは重箱の隅をほじくるというものでしかないと思う。

「レコード・ジャケットで"聴く"アメリカン・ロック」という副題が物語るように、60年代から70年代にかけてのアメリカン・ロックの名盤のジャケットがたっぷりと楽しめる。秀逸なデザイン、最小限の言葉。僕はこういう書物を待ち望んでいた。

1枚のレコードがあるとする。針を落とすとグルーヴィーな音の隙間をぬってかすかなスクラッチノイズが顔を覗かせる。独特な紙の匂い、裏ジャケットのクレジット、レコード盤にあるレーベルマークやカラー、そしてジャケットにデザインされたアーティストの想い。その全てを知ると、不思議と聴こえてくる音が違ってくることもある。

こんな時代にぽとりと落とされた良心。『my favorite of US Records』を開くと、やはりグッド・タイム・ミュージックが聴こえてくる。