bannai452008-06-22

「赤い傘ツアー」にあわせたかのような雨模様の中、数ヶ月前まで住んでいた街に訪れた。いつも煙草を買っていたコンビニに立ち寄り、cafe marthaへ向かうと、高田渡の写真展が催されていた。高田渡の他にも村上律、遠藤賢司松田幸一なぎら健壱、永井よう、大塚まさじらの写真も展示されていた。この空間でイノトモと笹倉慎介の音楽を体感できたのは、けっこう贅沢だ。
笹倉慎介。
やはり、もさっとしていた。つたない語り口、驚くほどマイペース、ひとつひとつの仕草が緩やかで柔らかい。歌には心があり、爪弾くギターが優しい。少々くたびれた感のあるサックスブルーのシャツがとても似合っていた。

彼がシーンに登場したことで日本の音楽史が大きく変わることはないと思う。そういう時代でもないだろう。けれど、僕の音楽遍歴には光が射した。いい音楽に出会えるかどうかは膨大な情報の中から選び取る前に、縁や運というものがあると常々思っている。極めて主観的ではあるが。聴き手の身勝手なエゴと言われればそれまでかもしれない。けれど、けれどだ。


終演後、外に出ると雨はやんでいた。駅までの途中、1台の古びた自転車のハンドルに傘が開いた状態でくくりつけられていた。透明のビニール傘だったが、僕には赤い傘に見えたような気がした。


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