bannai452008-06-26

ひこうき雲 / 荒井由実(1973)■
そういえば叔母がユーミンのファンだった。習字の先生をしていた叔母が書いていたカセットテープの字がやけに達筆で、幼いながらもそこから流れるポップな音楽と、その字体とのギャップを感じていたような気がする。

その叔母の影響でユーミンを熱心に聴くようになったかというとそういうわけでもない。僕が音楽にずぶずぶと入り込んだ頃のユーミンというと、セレブ感たっぷり、ド派手に歌う女性だった。どちらかというと苦手な部類の音楽だった。

ただ、キャラメルママ経由で『ひこうき雲』に出会った喜びは相当なものだった。『ミスリム』も『コバルト・アワー』もずいぶん聴いたが、僕にとってユーミンの1枚は『ひこうき雲』である。それまで僕の知っているユーミンとは一線を画す、原石のような音楽が琴線に触れた。そばかすのある音楽というか。

先日のイノトモと笹倉慎介のライヴで彼らは「ひこうき雲」を歌っていた。掛け合いの間、絶妙のハーモニー、詩、歌、素朴な演奏。視界が涙でぼやけたのを覚えている。

叔母のテープで「ひこうき雲」を聴きたくなった。