bannai452008-07-21

■Tarzana Kid / John Sebastian (1974)■
セバスチャン・ファンの多くは彼のベストとして挙げる人気盤で、僕もそのひとりである。

エイモス参加アルバム、というだけでは補いきれないほど魅力に溢れている。セバスチャンの知性を西海岸の気候にさらし、太陽の匂いを十分に染み込ませた傑作だ。目玉となると、やはりロウエル・ジョージとの共作「フェイス・オブ・アパラチア」という名曲が収められているところだろうか。ロウエルのたおやかなスライドギター、盟友デヴィッド・グリスマンのマンドリン、デヴィッド・リンドレーのフィドルが僕たちをアパラチア山脈へと導いてくれる。

リトル・フィートの「ディキシー・チキン」をエミルー・ハリスのキュートなコーラスを交えてセバスチャン流に仕上げ、ジミー・クリフの「シッティング・イン・リンボ」をしなやかに歌う。他にもエヴァリー・ブラザーズに提供した「ストーリーズ・ウィ・クッド・テル」など。アルバム随所で聴けるセバスチャンのハーモニカも素晴らしい。

エイモス参加曲は4曲。なかでも「フレンズ・アゲイン」は楽曲ともに僕のお気に入りだ。ドラムにミルト・ホランド、ベースにケニー・アルトマン、コーラスにはポインター・シスターズという面々がバックを固め、エイモスの控えめながらも跳ねるギターがたまらなく良い。インスト・ナンバー「ワイルド・ウッド・フラワー」ではまるで心が浄化されるようだ。

音楽ファンなら一家に一枚。つい、そう叫びたくなる傑作だ。