bannai452008-08-18

■Silver / Silver (1976)■
音楽の真実。
夏の盛りが少し衰え出す頃、思わず手が伸びる1枚だ。ビッグ・ヒットを放ったわけでも、その後のシーンで大きく活躍するスターが在籍していたわけでもない。70年代のロック・シーンに星の数ほど存在したマイナーなグループのひとつに過ぎない。けれど、僕が出会った音楽好きの40代から50代のオヤジたちは必ずシルヴァーの名を挙げる。驚くことなかれ、その打率は10割だ。ある人は波乗りに行く車の中で、ある人はディスコのチークタイムで、ある人はバーのカウンターでジントニックをすすりながら、シルヴァーの音楽に触れてきた。

「ミュージシャン」「メモリー」「恋のバンシャガラン」がアルバムの中核だろう。バラード、ミディアム、アップの三拍子が見事に揃っている。僕は「クライミング」やラストの「さらば恋人よ」などもたまらなく好きだ。蛇足だが、「ミュージシャン」の正式なタイトルはそのあとにIt's Not an Easy Lifeと続く。たった1枚のアルバムでシーンから遠ざかってしまった彼らを暗示しているかのようだ。それともうひとつ、バーニー・リードンの実弟トム・リードンが在籍していたことも記しておこう。

どれだけ時が経っても風化しない音楽はいいものだ。真実がある。胸をはって僕も継承していきたい。