bannai452008-10-18

■The Second Album / Borderline (1974)■
『スウィート・ドリームス・アンド・クワイエット・ディザイアーズ』を73年に発表しただけで、シーンから遠ざかったボーダーライン。自分たちを揶揄したかのようなバンド名に聞こえなくもない。当時のカントリー・ロック勢と比べてみても派手さやポリュラリティーに欠けている。実に地味で、酸いも甘いも知り尽くしたかのような大人の音楽と呼んでもいいだろう。とかくウッドストック経由の音楽とはそういう類いのものが多い。一派が参加した幻の名盤として高値で取引されていたことで、手に入れる前から長年蓄積された期待と興奮は高まった。しかし、蓋を開けてみると、とっつきにくい印象だけが残ってしまった。今にして思えば僕の受け皿はまだ青く、そして若かった。

翌74年に予定されていたアルバムは当時発表までに至らず、ひっそりとそのときが来るのを待っていた。その歳月は27年。世紀をまたいだ2001年に発掘される。前作を聴いたときのあの印象はまるで無く、するりと身体に馴染んだ。『スウィート・ドリームス・アンド・クワイエット・ディザイアーズ』を聴いたのはたしか98年頃。約3年の間に僕の受け皿は少しだけ成熟に向かっていたのかもしれない。30歳を越えた今、久々に聴いてみるとなんと素晴らしい内容か!

全10曲中、9曲にエイモスが参加。その9曲全てにおいてエレクトリック・ギターを鮮やかに響かせている。エイモスを筆頭にクリストファー・パーカー、ウィル・リー、デヴィッド・サンボーン、ベン・キースらがこれぞ適材適所なプレイでバックアップしている。前作以上に引き締まったサウンドとポップさがより際立つ仕上がりだ。

このセカンド・アルバムが当時発表されていたならば、少しだけ、アメリカ音楽の歴史はもう少し違ったものになっていたかもしれない。ほんの少しだけ。