bannai452009-01-30

■Chu Kosaka & Friends Concert 2001■
2001年12月16日、僕は東京にいた。小坂忠とティンパン・ファミリーによる一夜限りのステージを観るために。それまでにも東京には何度か訪れているが、この日ほど緊張、そして高揚した日は今日に至るまで経験していない。

3月に発表される小坂忠のボックスセットには、3曲を除くこの日のライヴの模様を収録したDVDが収められているという。映像は一度だけテレビ朝日の深夜枠(関東限定)で放送されているがカットされた楽曲も多数あり、あの日を体験している者としては少し物足りなかった。伝説の一夜がいつでも観ることができるようになると思うだけで、今から胸がときめいてしまう。


「僕の部屋へようこそ」

クリスマスシーズンということもあり、ステージには小さなクリスマスツリーが置かれてあった。1部と2部構成の贅沢な一夜。前半はヒックスヴィルとのアコースティックセット。18時開場、18時40分開演。約10分遅れてのスタートだった。

小坂忠の第一声。茶色のジャケットにジーンズという出で立ちで、自分の部屋に見立てたというステージに現れ、ギブソンのJ-50を爪弾きながら「好きなんだから」を歌い始める。「ボンボヤージ波止場」や「氷雨月のスケッチ」「からす」「ありがとう」など、終始リラックスした空気に包まれ、客席の緊張した雰囲気がみるみる溶けていく。

15分の休憩を挟み、ステージチェンジが施され、第2部が始まる。前半とは対照的な暗めの照明、ドラムセット、マイクスタンド、ギターがきらびやかに光っていた。細野晴臣鈴木茂林立夫もいる。シックな黒いスーツを身に纏った小坂忠は第2部のオープニング、「機関車」を歌う。この「機関車」をはじめ、「ピープル・ゲット・レディ」や「夢を聞かせて」など、終始涙で視界がぼやけていた。

アンコールの「しらけちまうぜ」が終り、ステージの中央で小坂忠細野晴臣は固い握手を交わした。それはとても印象的で、この日を象徴しているように思えた。


最近の僕は、当時ためこんでいた雑誌やチラシを引っぱり出し、当時のことを振り返る日が多くなった。3月が待ち遠しい。