bannai452009-03-20

■Chu's Garden  / 小坂忠 (2009)■
小坂忠漬けのここ最近である。
新作『Connected』とボックス『Chu's Garden』を交互に聴く日々だ。ボックスは10枚組で、オリジナル作品は70年代の『ありがとう』から『モーニング』までの6枚と、2001年の『People』。残りの3枚は未発表ライヴ音源などを収録した1枚、そして映像作品を収録したDVDが2枚という内容になっているわけだが。

オリジナル諸作品に関してはこれまで何度も何度も聴いてきたものだし、熱が冷めだした頃に過去のリイシューと聴き比べなどしながらじっくり聴こうと考えている。

新作を一通り聴いたあと、ボックスに手を伸ばし、どれから始めようか少し悩んでから結局Disc10のDVDからにすることにした。75年のファースト&ラストツアーの模様を収録したもので、僕が長年見たかった映像のひとつである。はじめは正座をしてしまったくらいだ。

息を飲んだ。この時代の彼らは冷静な毒気がある。鋭い眼光、卓越した演奏。後追い世代として感じたのは音源だけで見つけることができなかったものがあった。つまり毒だ。ステージにいるメンバー全員から放たれる奇妙なオーラ。もう虜である。

『ほうろう』から「機関車」「氷雨月のスケッチ」「しらけちまうぜ」などの演奏シーンが収録されているが、どれもこれもアレンジがオリジナルとは異なるところも見どころのひとつだろう。さらにインスト曲「アップルノッカー」でのファンキーな個々のプレイには舌を巻く。

Disc10の最後には72年のフォージョーハーフとの映像も収められている。8mmのモノクロ映像(無音)に『もっともっと』の「どろんこまつり」をかぶせたものだが、僕としてはこの映像がDisc10のハイライトだ。身震いするほど神々しい映像である。これはむしろ無音のままでも十分伝わるかもしれない。実際、僕は2度目に見る際に無音にして、部屋の灯りを消し真っ暗な中で無音のこの映像を見たのだが、迫力が増したのは言うまでもない。


約7年振りに小坂忠でフィーヴァーしている毎日、楽しくないわけがない。