bannai452007-09-23

■HOAGYLAND〜Songs Of Hoagy Carmichael / John Simon & Friends (YDCD-0035)■

dreamsvilleの全カタログで最もdreamsvilleらしさを凝縮した1枚。アメリカを代表する作曲家ホーギー・カーマイケルの生誕100周年を記念した非常に中身の濃い作品。2000年8月25日発売。日本におけるホーギー・カーマイケルの名前を広めた人物となるとやはり細野晴臣氏ではなかろうか。76年の『泰安洋行』でカバーした「香港ブルース」の功績が大きい。僕はそのへんからアメリカのルーツロックに触手を伸ばしてジェフ&エイモスの「レイジーボーンズ」なんかでKOされたタチ。世界的規模でみるとレイ・チャールズの「我が心のジョージア」の存在を忘れてはならないところ。

ホーンセクションが奏でるインストナンバー「序曲」で幕が上がり、1アーティストが1曲ないし2曲を順に披露していく流れは素晴らしく、さながらミュージカル仕立てのステージを体感しているような構成。


...場所はニューヨーク、ウッドストックのベアズヴィル劇場。
ビッグバンド編成をバックに指揮者はもちろんジョン・サイモン。黒のタキシードに蝶ネクタイを着こなした彼が順にアーティストを招き、それぞれのコラボレーションでステージは進行していく模様だ。

ジョン・サイモンが指揮棒をかざし、一瞬の静寂。ビッグバンドがかまえる。絶妙の間をおいて始まる「序曲」。小気味良いホーンセクションにドラム、ウッドベースが絡む。特別な一夜がいよいよ開かれた。「序曲」が終わるとウッドベースのイントロにあわせてまず最初にミッチ・ブランデンが登場する。ジョン・サイモンとハグをし、しとやかに「レイジー・リヴァー」を歌うと、次はジョン・サイモンが指揮棒を置き、ピアノの前に座り「オール・バターミルク・スカイ」を突如歌い始める。「我が心のジョージア」ではサックス奏者のコーネリアス・バンパスがマイクの前に立ち渋く歌い上げる。会場からは惜しみない拍手が。

中盤のハイライトはスティーヴ・フォーバートが歌う「スカイラーク」。少し照れくさそうな仕草が印象的だ。そのあとハース・マルティネスとジョン・セバスチャンがハーモニカを片手にステージ袖から登場し「ボルティモア・オリオールズ」を。これぞ夢の共演。その後、赤いテレキャスターを抱きかかえて現れたのはエイモス・ギャレット。が、すでに泥酔のご様子。「スモール・フライ」をホーギー・カーマイケル本人にも勝るとも劣らない歌いっぷり。間奏のギターソロも麗しく腰が砕けそうになる。演奏後、足元にあった缶ビールの残りを飲み干し、ステージを去る。

終盤はジェフ・マルダーとジャッキー・ケインの二人が雰囲気出しまくりで歌う「スター・ダスト」が白眉。本編終了後、バックバンドは舞台を去り、アンコールではジョン・サイモンが一人で現れピアノ弾き語りによる「ロッキン・チェア」を朴訥と歌い、幕が下りる。


...というライヴがあれば最高、と妄想しながら『ホーギー・ランド』は楽しめる。

ホーギーランド

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