bannai452007-10-11

■Remedy / Jim Weider (YDCD-0073)■
前作『ビッグ・フット』から約3年、ジム・ウィーダーのセカンドアルバムもdreamsvilleからリリースされた。2000年秋から2001年夏にかけてウッドストックを中心にニューヨーク周辺で録音されている。

前作よりも「今な音」でグイグイ引っ張っていくテンションが凄まじく、冒頭はボブ・ディランの「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」。ヒップホップとファンクロックを融合させたようなアレンジで、そもそもディランのオリジナルバージョンがあまりにも早すぎたヒップホップ・ソングだったからこのアレンジに納得できる。珍しくウィーダーのヴォーカルが聴けるのが嬉しいところ。タイトル曲「レメディ」はファンにはおなじみ、再編ザ・バンドの『ジェリコ』のオープニングを飾る曲だ。オリジナルよりもアメリカ南部色を強め、 ローリング・ストーンズの「ギミー・シェルター」を彷彿とさせたりもする。「メタル・ジャム」もイカしてる。オールマンの『フィルモア・イースト』が聴きたくなるのは僕だけではないはず。

なんといってもアルバムのハイライトは「ザ・ウェイト」だろう。言わずもがな、ザ・バンドの代表曲。名曲はイントロで決まる、の見本のようなあのフレーズが始まり、イントロが終わると驚きのレゲエ・アレンジで曲は進む。1,2番はウィーダーのギターソロ、歌が出てくるのは3番以降。ランディ・シャーランテ、マール・サンダースが歌い、さらに後ろで聴こえるソウルフルな女性コーラスは『ラスト・ワルツ』でのあの名唱を残した、メイヴィス・ステイプルズ。彼らがリック・ダンコ、リヴォン・ヘルム、リチャード・マニュエルに化ける。曲の構成としてはこのあとサンダースのキーボードソロ、ウィーダーのギターソロを再び挟み、ラストはメイヴィスがリードをとるという感動的な流れ。控えめながらガース・ハドソンの友情参加も特筆すべきだろう。マッド・プロフェッサーここにあり、という存在感が感じられる。この「ザ・ウェイト」はウィーダーが元祖ザ・バンドへの愛情と敬意を表したものであるに違いないだろう。そう、ここには愛がある。愛のある音楽はやはり素晴らしい。

レメディ

レメディ