bannai452007-11-13

■Funky Miracle / The Meters (1991)■

ミーターズのオリジナルアルバムが単体でしっかりとCD化されたのは2000年頃。その4年ほど前となると、ライノレーベル編集の2枚組アンソロジーが究極のベスト盤とされていた。実際内容は素晴らしく、文字通りの究極。ジョシーとリプリーズの両レーベル在籍時の音源をたっぷりと43曲、しかもシングルオンリーの楽曲も惜しみなく収録、さすがライノの仕事はひと味違う、と深く頷いてしまう内容だ。

しかし、僕がまず買ったのはイギリスの再発専門レーベル、チャーリーからの2枚組ベスト『ファンキー・ミラクル』だった。理由としては?@ライノ盤よりも安価だった、?Aミーターズに対しての知識がまだまだ浅かった、ということにほかならないが、トータル38曲のボリュームは当時の僕を十分に満足させてくれたものだ。それとこの盤はジョシー時代のベスト、という括りだからサウンドの統一感はピカイチだった。洗練されていくリプリーズ時代よりも濃厚でもっさりとした、それでいて隙間だらけのすかすかファンクは当然、クセになった。いや、中毒といったほうがしっくりくる。通学途中のJR阪和線の車内でミーターズウォークマンでどっぷり聴いていたのは、おそらく僕ぐらいじゃないだろうか。粗いマスタリング(曲によってはLPからそのまま収録したものもあるとか)はむしろアジであり、CDなのにスクラッチノイズが聴こえるのはイキ、だ。

ミーターズの結成は1968年。キーボード:アート・ネヴィル、ベース:ジョージ・ポーター・ジュニア、ギター:リオ・ノセンテリ、ドラム:ジョセフ・モデリステの4人がオリジナルメンバーだ。これぞ鉄壁の布陣。隙間だらけなのに風通しが悪く体中にまとわりつくリズムとサウンド。同時代、インストバンドの先駆けだったブッカー・T&ザ・MG'sとは一味違う南部臭さ。メンフィスとニューオーリンズ、同じ南部でもこうも違うアメリカ音楽というのはやはり奥が深い。

「プクチウッ! プクチアッ!」
Disc1の冒頭、「ルッカ・パイ・パイ」の意味不明なコーラス?かけ声?奇声?が僕のハートを鷲掴み。「シシー・ストラット」「パンジー」「イエー・ユーアー・ライト」「ティピ・トーズ」「チキン・ストラット」あたりで身震い。Disc2の「ソフィスケイテッド・シシー」「ファンキー・ミラクル」「ライド・ユア・ポニー」「ハンド・クラッピング・ソング」「セイム・オールド・シング」でついにK.O.。

このベスト盤でジョシー時代のミーターズサウンドを体に染み込ませ、次に挑むはリー・ドーシーの『イエス、ウィ・キャン』。これが大傑作。