bannai452007-12-01

■Sweet Baby James / James Taylor (1970)■


12月の最初の日は雪が降り積もり
ストックブリッジからボストンに向かう高速道路も真っ白だった
霜が降りたせいでバークシャーの丘はまるで夢のように美しかった
ぼくはたった10マイル進んだだけで先はまだまだ長かった


ジェイムス・テイラーの名を広げることになった記念碑的アルバム『スウィート・ベイビー・ジェイムス』のタイトルナンバーの一節だ。昔から毎年12月の最初の日は必ず聴いている。儀式のように。

ストックブリッジはJTの思い出の地だという。詞の内容は彼の甥っ子と何より自分自身へ向けて書かれた子守唄だ。1970年という時代がいかなるものだったかが窺える。

このアルバムは16歳のときに買った。14年前というと1993年。当時祖母が入院していた。だいたいは母が運転する車で病院に向かった。その車中でカセットテープにダビングしたものをよく聴いた。いつも川沿いを走り、助手席から川をぼんやり眺めるのが好きだった。ちょうど今頃のように寒くなる季節だった。歌詞のように雪が降り積もることはなかったけれど、この一節を聴くとどうしてもあの川沿いが目に浮かんでくる。

そのとき何処で聴いたのか、何歳だったのか、誰と聴いたのか。そうやってその曲その曲が頭に心にインプットされていくのだろう。思い出というのはそういうふうにして刻み込まれていく。