bannai452007-12-05

■ラッキー・オールド・サン / 久保田麻琴と夕焼け楽団 (1977)■
夕焼け楽団のアルバムはどれもこれも良質でどれもこれも愛聴盤である。しいて1枚、となると僕は1977年の『ラッキー・オールド・サン』を挙げる。タイトル曲だけでも聴く価値がある、と断言できるほどこの曲は完成度が高く聴衆を唸らせるパワーがある。

京都の老舗ライヴハウス、拾得の店主テリー氏の訳詞の世界を切なくも男気のあるマックの歌、それをバックアップするロニー・バロン、ジェフ・マルダー、エイモス・ギャレットのコーラスがたまらない。ロニーが担当したストリングスとホーンとヴォーカルのアレンジもやはり素晴らしい。極め付けは井上ケン一のギターだ。エイモス本人を目の前にケンちゃん流の星屑プレイを聴かせてくれる。「ラッキー・オールド・サン」を聴いていると、音楽とは本当にいいものだな、としみじみできる。

初期の夕焼けと比べると洗練された雰囲気もあるが、遊び心は相変わらずだ。ベティ・ライト「クリーン・アップ・ウーマン」とジーン・ナイト「ミスター・ビッグ・スタッフ」とエリック・カズ「カム・ウィズ・ミー」のあいだを飄々とすり抜けていくような「フォンキー・ウォーキン・ボーイ」もあるし、リーバー=ストーラーの名作「スモーキー・ジョーのカフェ」ではスモーキー・ハリーこと細野晴臣がコーラス参加。文字通りスモーキーなコーラスが見事だ。その他ケニー節炸裂の「パラダイスへの道」、モロにイーグルスの「呪われた夜」な「まぼろし」など聴き所は多い。サザン・ロックから西海岸、得意のR&Bまで何でも来いのバンドとしての在り方を発揮している。

95年の再発CDから13年、長らく廃盤が続いていたが年明け1月末には晴れて待望の再発が予定されている。大阪・中崎町のエイモスは喜ぶにちがいない。

昭和アーカイブス ラッキー・オールド・サン

昭和アーカイブス ラッキー・オールド・サン