bannai452008-01-08

■Pottery Pie / Geoff & Maria Muldaur (1970)■
単なる夫婦アルバムではない。ジェフ&マリアのあとに「&エイモス・ギャレット」と付け足したくなるほど、このアルバムでの貢献度は凄まじい。ジェフとマリアのリード曲が交互に並び、ほぼ全曲において裏の主役といった感じでエイモス・ギャレットのギターソロが入る。

白眉はやはり「我が心のジョージア」だろう。かのロビー・ロバートソンはこのソロを聴いて嫉妬した、というほどの名演だ。ここでのソロはどうかわからないが、エイモスのギターソロはまず頭の中でフレーズを考えてから実際にギターで弾いてみるのだという。彼に影響を受けたギター弾きは口を揃えて「どうやって弾いてるのかわからない。実際にステージを観ても、わからない」と言う。そのわからなさを頭の中で考えているのだからもっとわからない。まさに夢の仕業、というしかない。そして「ブラジル」でのアットホームな雰囲気はこのアルバムを象徴しているかのようだ。


スウィート・ポテト

スウィート・ポテト

■Sweet Potatoes / Geoff & Maria Muldaur (1972)■
『ポテリー・パイ』から2年。夫婦としては末期状態で離婚直前。にも拘らず前作に勝るとも劣らないクオリティーだ。エイモスも大活躍でいよいよリードヴォーカルをとっている。必殺の「レイジーボーンズ」でまさにレイジーな歌声と天にも昇らんばかりの超絶ソロが聴ける。

ウッドストックのベアズヴィル・スタジオでの録音というところも魅力のひとつだ。森の中の小屋で聴いているかのような錯覚に陥る、この木と土の匂いが漂うサウンドウッドストック産の音楽特有の、良い意味での時代錯誤な感覚が僕は好きだ。ウッドストックの磁場というか魔力というか魔法というか、そういうものを感じずにはいられない。こういう音楽こそグッド・タイム・ミュージックと呼びたい。