bannai452008-01-19

■Mark James / Mark James (1973)■
本家small town talkでも触れたが、LPを整理して改めて聴くものが急激に増えた。自分で買っておきながら棚の前に行くとレコハンしているときのあのワクワクした気分にさえなる始末。ピックアップするときは系統立てたりせず気の向くまま。だからダン・ヒックスとファビュラス・ラインストーンズを続けて聴いたりする。マリア・マルダーを棚に戻すとき、その隣りにマーク・ジェイムスのアルバム『マーク・ジェイムス』があった。73年発表、大好きなアルバムだ。SSWやスワンプ系、あるいはソウル・ファンにも受け入れられるストライク・ゾーンの広い隠れ名盤。エルヴィス・プレスリーの「サスピシャス・マインド」の作者でもあるからロックンロールからのお客様にも提供できる。

プロデューサーはスティーヴ・タイレル、参加ミュージシャンにバリー・マン、アル・ゴーゴニなど、バリー・マンの『レイ・イット・オール・アウト』やB.J.トーマスの『ビリー・ジョー・トーマス』や『ソングス』との共通点が多い。手触りも似ているし、マーク・ジェイムスの味のあるヴォーカルはあるときはバリー・マン、またあるときはB.J.トーマスと非常に近いものを感じる。

ニューヨーク録音ながらほのかに漂う南部フィーリングが魅力で、詳細はわからないがおそらく南部出身のマーク・ジェイムスの素養が大きいと思われる。それが見事に結実しているのが「ブルー・ウォーター」ではないだろうか。ミディアム・ソウル・バラードの傑作で、パーシー・スレッジが取り上げ素晴らしい歌を残している。当時、日本盤シングルも出ている。



A面は必殺の名曲「アイル・ビー・ユア・エヴリシング」、B面に「ブルー・ウォーター」という完璧のカップリング。マスル・ショールズ録音の傑作アルバム『アイル・ビー・ユア・エヴリシング』に両曲とも収録されているが現在CDは廃盤の様子。マーク・ジェイムスにいたっては過去に一度もCD化もされていない。こうやって不遇の名盤はまだまだ眠っている。

聴くものが増えたのでここで書きたいものも増えた。今後は所有しているLPを中心に『棚からわしづかみ』を不定期更新していこうかと思う。