bannai452008-02-05

音楽をこよなく愛する僕だが、ジーンズにも相当な愛情を注いでしまっている。といっても何十万何百万もする高価なモノを買ってしまったりすることはない。古い音楽を聴いていると当時のファッションも気になるものである。アルバムジャケットに写る彼らのナチュラルな着こなしはファッション雑誌にはない等身大のカッコ良さがある。


    


ジーンズに関する書籍は国内外問わず数多くのものが存在する。国内のジーンズ本はどうしても杓子定規になりがちで、ここ数年でさらに面白みに欠けるものが増えた感がある。二番煎じどころか三番煎じという状況ではなかろうか。丈の長さを提案してくれるような過保護な雑誌、ラギッドという単語で古着をブランド化してしまう雑誌、僕としてはもううんざりだ。そういうことは自称セレブの皆様が実行していればよいのだろう。ブーツカットジーンズをばっさり切ってストレートジーンズにして穿けばいい。


    


『denim』はイギリスで出版されたものが06年末に和訳され、タイトルも『デニム・バイブル』として国内発売されたものだ。装丁、内容とも上記のような国内ものとは異なる。アート本、ヴィジュアル本というニュアンスではあるが資料性も十分に兼ね備えている。表紙に写っているのはジェーン・バーキン。この手のものであればジーンズのアップ写真やカウボーイ、あるいはスティーヴ・マックイーンを使うのが常套手段だ。僕はこの表紙だけで買うことを決めたくらいインパクトがあった(実は表紙を取るとマックイーンが出てくる、という粋なデザイン)。映画俳優、名も無いファーマー、ミュージシャン、画家など各ジャンルのメジャー、マイナーを問わず様々な人物が掲載されてはいるが、まさかこういうところでジーン・クラークを見るとは思いもよらなかった。髪型、着用しているデニムシャツからして『ホワイト・ライト』以降のクラークだと思われる。



わざわざクラークを選んでいるのは著者のグラハム・マーシュとポール・トリンカの思惑があるような気がする。彼らは音楽にも造詣が深いようで、この二人の遊び心が集約されているのでは、と深読みしたくもなる。クラークのみならず偉人たちのポートレイトを見るだけで心に余裕ができるのは僕だけだろうか。自然体がいちばんカッコイイ。


    


Having a Wonderful Time(http://masuo45.jugem.jp/?cid=6)で「denim LP」をスタートさせてみた。偉大なるデニムジャケをご覧あれ。