bannai452008-04-02

■Paul Butterfield's Better Days / Paul Butterfield's Better Days (1973)■

見開きジャケットいっぱいに写るホーナー製のハーモニカの写真が僕たちに強烈な印象を与える。シカゴ・ブルースの探求者ポール・バタフィールドを中心に、ニューオーリンズからロニー・バロン、ジャグ・バンド〜夫婦デュオを経たジェフ・マルダー、ドラムにクリス・パーカー、ベースはビリー・リッチ、そしてギターはエイモス・ギャレットという6人組のベター・デイズ。

ベター・デイズには3本の音楽柱がある。バタフィールドのシカゴ・ブルース、ジェフ・マルダーのカントリー・ブルース、ロニー・バロンのニューオーリンズR&B。そこへエイモスの要素もブレンドされるわけだから懐の深さではザ・バンドに一歩も引けを取らない。ひねりすぎずストレートに展開されるベター・デイズの音楽は、ひょっとするとザ・バンドよりも馴染みやすいかもしれない。

オープニングはロバート・ジョンソンのカバー「ニュー・ウォーキン・ブルース」。バタフィールドのヴォーカル、各楽器の音の鳴りが心地良く、柔軟かつソリッドな解釈はベター・デイズの真骨頂だ。そしてA面2曲目で早くもアルバムのハイライトだ。パーシー・メイフィールドの「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」、ジェフが艶っぽいヴォーカルを聴かせ、バタフィールド得意の泣きの入ったハーモニカ、そしてジェフの「Go on Amos...」の一言に続いて始まるエイモスのソロ。その後も語り草となった究極の名演、極上のギター・ソロである。

このアルバムにおけるエイモスは星屑ギターを随所で披露。とりわけボビー・チャールズの作品との相性は抜群で「ダーン・ア・ロット・オブ・ロング・シングス」でのソロも必聴だ。アップ・ナンバー「ハイウェイ28」での疾走感溢れるプレイも然り。

ロックの金字塔、というには恐れ多いが、これだけの強者が顔を揃え奏でた音楽は超が付く一級品だ。クラプトンやロビー・ロバートソンたちが嫉妬したに違いない。音楽性の違いはあれど、同時期のマナサスとの共通点も見出せるのではないだろうか。

問答無用の名盤。この先の人生でもずっとずっとお世話になる1枚だ。