bannai452008-04-30

■Recycled Recipes / Donavon Frankenreiter (2007)■
波乗り未経験の僕ではあるが、波乗り人たちが好む音楽に心が惹かれてしまう。古くはイーグルスジャクソン・ブラウン、シルヴァーなどを筆頭とする70年代アメリカ西海岸産の良質音楽。波乗り人を通じて、というよりも元々僕が嗜好していた音楽が波乗り人には必要不可欠なアイテムばかりだった、というほうが正しいかもしれない。

ジャック・ジョンソンの登場で現代の波乗り人とその音楽にスポットが当たったのは言うまでもない。スロウライフ、ロハス、オーガニックなどというような単語を用いて一時は過熱したが、ここ最近はようやく落ち着いた感がある。国内外を問わず、このブームに便乗した輩も多いだろうが、ホンモノのサーファーやスケーターが繰り出す音楽というものは結構面白い。これは僕なりの解釈だが、80年代後半から90年代中盤までのアンプラグド・ブーム、90年代後半のオルタナ・カントリー、そして2000年代のサーフ・ミュージックという直接的ではないにしろ、70年代を匂わせるルーツ回帰という系譜ができあがる。

そこで、ドノヴァンである(もちろん「メロー・イエロー」や「サンシャイン・スーパーマン」でおなじみのあの人ではない)。去年の夏にひっそりと発表した『リサイクル・レシピズ』は6曲入りのミニ・アルバムでありながら、自身のルーツをあっさりと教えてくれるカバー・アルバムだ。ブルース・コバーン、ウィルコ、Dr.ジョン、CCRザ・バンドボブ・ディラン。選曲のセンスといい、全編ドノヴァン色にまとめあげたその手腕といい、その才能をいかんなく発揮している。ギター1本で「同じことさ!」をやってのけてしまうのだから、ひれ伏すしかない。それと構成も巧みだ。6曲というところがなんともツボを押さえている。聴き手としては6曲を聴き終わってしまうと少々物足りなさを感じながら、またしても1曲目に戻してしまう。

72年生まれのドノヴァンは、ウィルコのカバーを除いた他の楽曲をリアルタイムで体験していないはずだ。ブルース・コバーンの楽曲は79年発表だが、それでも7歳前後だからその可能性は極めて低い。サーフィンの合間にでも浜辺でこういう音楽を気の向くままに爪弾いて歌っていたのだろうか。

とにかく、一本筋の通った姿勢は僕の好みであり、深く共感できる。