bannai452008-09-03

■Dusty in Memphis / Dusty Springfield (1969)■
アリサ・フランクリン、ウィルソン・ピケットレイ・チャールズらの諸作に触れれば、プロデューサーであるジェリー・ウェクスラーの存在を避けて通ることはできない。ジェリー・ウェクスラーの訃報を聞いたとき、彼らの名盤とともに僕の頭の中にはダスティ・スプリングフィールドの『ダスティ・イン・メンフィス』も浮かんだ。つい最近、たまたま引っぱり出して聴いていたということもあるが、つまりは僕はこのアルバムが大好きなのだ。

メンフィスのアメリカン・スタジオで録音。硬質ながら麗しいリズム・セクション。ジェリー・ウェクスラー、トム・ダウド、アリフ・マーディンのアトランティックの名人が手掛けた必殺の名盤。アリサには劣るとしても白人(それも英国人)によるソウル、つまりブルー・アイド・ソウル屈指の名盤ではないだろうか。

僕のベスト・トラックはゴフィン=キング作品の「ノー・イージー・ウェイ・ダウン」だ。少ししゃがれたダスティの艶っぽいヴォーカル、そこに絡むレジー・ヤングのすすり泣くようなギターもたまらなく良い。

作家がいて、プロデューサーがいて、バックも一流。何より歌い手が素晴らしい。タイトル、内容に偽り無し。