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■Expressions / Turley Richards (1971)■
大阪西区に実在した奇妙でしかしとても魅力的なその店では1枚50円のシングル盤コーナーがあった。輸入盤のみで盤を裸で段ボール箱に入れ、その扱いはかなり乱雑ではあったがここで見つけた貴重盤は数知れない。

ターリー・リチャーズが何者なのかを知る前に見つけた「チャイルド・オブ・マイン」のシングル盤はA面がステレオ、B面が同曲のモノラルが収録されていた。キャロル・キングのカバーであることから女性SSWだと勝手に思い込んでいたが、針を落とし聴こえてきたのは男の歌声だった。憂いのある、まるで世界の悲しみ全てを背負い込んだかのような歌声。その歌に呼応するかのようにすすり泣くギターがやけに耳に残る。後日それはダニー・クーチによるものと知ることになるのだが。

結婚する前、近くに住んでいた僕たちはご飯を済ませたあと、夜遅くまで開いているその店によく行ったものだ。今はイタリアンの店に姿を変え、すっかり面影は無くなってしまったがここで宝探しをした思い出は忘れないでおこう。